「新型コロナウイルス」考

2020. 4.17

新聞の二つの記事

Ⅰ 新型コロナ 緊急事態宣言(2020.4.9毎日新聞)

文化の喪失懸念
劇作家・平田オリザ氏の話
 政府が最初にイベントの自粛要請を出した2月下旬以降、演劇、音楽業界は壊滅状態にある。緊急事態宣言が出ることで休演がより長期になるが、人命や健康が第一で自粛指示に従うことになるだろう。
 難しいのは、一つの場所に集まること自体が駄目という点。長年演劇に携わっているが、初日がいつになるか分からない稽古(けいこ)を続けるのは初めてだ。
 芸術やスポーツには本来、社会のとげとげしい雰囲気を和らげる役割がある。今問われているのは「日本の文化の公共性」で、長期自粛の影響でこのまま文化の裾野が狭くなっていくことが恐ろしい。社会の寛容さが失われることにつながると懸念している。

Ⅱ 新型コロナ・緊急事態(2020.4.11毎日新聞)

山中教授、情報サイト開設
「社会守る行動を」
検査体制強化など提言
 ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授が、新型コロナウイルスに関するサイトを開設して情報発信を続けている。サイトではウイルスとの闘いを「マラソンと同じで、飛ばし過ぎると途中で失速し、ゆっくり過ぎると勝負にならない」と表現し、流行の収束のために検査体制の強化など五つの提言を掲げる。山中教授は取材に「私たちは普段、社会に守られている。今は、私たちが社会を守る番」と正しい知識に基づく行動の大切さを訴えた。

 サイトは「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」(https://www.covid19?yamanaka.com/ )。山中教授は幹細胞の研究者で感染症や公衆衛生の専門ではないが、3月下旬から1日2回のペースで更新している。

 山中教授によると、情報発信をしようと決めたのは同月中旬。知人が宿泊を伴う100人以上の会合を計画していることを知り、何度もやめるように説得したがかなわなかった。自粛ムードが緩み始めていると実感し、「このままでは大変なことになる。医学研究者として何かできることはないか」と考えるようになったという。
 サイトでは、感染しても症状が出ない人も多いとされる新型コロナウイルスを「普段は鳴りを潜めて多くの人に感染し、ところどころで牙をむく、非常に狡猾(こうかつ)」と指摘。大切な人、社会を守る行動を自らとる▽感染者受け入れ体制を整備し医療従事者を守る▽検査体制の強化▽国民への長期戦への協力要請と適切な補償▽ワクチンと治療薬の開発への集中投資――の五つを提言する。

 具体策として、感染病床を増やしたり、人工呼吸器や防護服を増産したりして、医師、看護師を過重労働と感染から守ることを挙げる。その上で、検査数が少ないPCR検査の体制改善を求めている。山中教授は「感染者や濃厚接触者の急増で、PCR検査の必要性が急増することが予想される。必要な人に速やかに、安全に検査を実施できる体制の強化が必要」と訴える。
 山中教授は取材に対し、ウイルスへの対応が求められる期間を「自分なりのウイルスの理解から、1年くらいになっても想定の範囲内」と強調。その上で「飲食業や芸術家らへの迅速な補償や、従業員の雇用保障が極めて大切。有効なワクチンや治療が開発されるまでは、ある程度の努力と我慢が必要」と指摘する。

 安倍晋三首相は7日に緊急事態宣言を発令し、東京や大阪など7都府県に法的根拠を持った外出自粛要請が出された。山中教授は「新型コロナウイルスは難敵で、これからしばらくは激戦、その後は持久戦。国民全員が言われて行動するのではなく、自ら進んで正しい行動をすることが求められている。一致団結してこの難局を乗り越えましょう」と呼び掛けている。

和尚からの蛇足

 新聞・テレビを始め各メディアはこの話題で溢れている。自分たちに関わりが深く、健康・生命に関わることであるから当然のことと思う。

 敢えて独断的に言えば、ここまでの日本の、いや世界のほとんど全ての人に関わりのある事態はかつての世界大戦以来なかったのではないだろうかと思う。

 感染症に詳しい専門家も何人もメディアに出て、解説してくれている。それによってこの新型コロナウイルスの怖さを知らされている。
 またこの緊急事態に対策を練り、対処している各首長も苦慮しながらマスコミに登場している。それを見ていて、各地方・自治体によって危機感が異なっているのを目にしている。もちろん各国においても様々である。

 そんな中、要請されているようになるべく外出を控え、人との接触を避けるのは自分のためばかりではなく、人のためにも必要なことであることは当然である。そして、こういう事態に対し、もっと大きな枠でどのように受け止めたらいいのかを考えてみた。

 たくさんある新聞記事の中で、目にとまったのがここで取り上げた上の二つの記事である。一つは劇作家の平田オリザ氏のコメント、もう一つは山中教授の提言である。
 平田オリザ氏は「日本の文化の公共性」が今問われている、長期自粛の影響で文化の裾野が狭くなり、社会の寛容さが失われることにつながると懸念していること。一度失われた社会の寛容さは果たして取り戻すことが出来るのか悲観的になってしまう。

 山中教授は「私たちは普段、社会に守られている。今は、私たちが社会を守る番」、そして「国民全員が言われて行動するのではなく、自ら進んで正しい行動をすること」と指摘している。やはり自らが思わないことにはこの事態に対処することは出来ないだろう。

 平田オリザ氏も山中教授もどちらも感染症や公衆衛生の専門家ではないが、この二人の懸念や提言をしっかり頭に入れてやっていきたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA